- 最近、ファンクショナルトレーニングってよく聞くけど何なの?
- 自宅でもできるの?
ファンクショナルトレーニングについて知りたいあなたへ!
今回は現役トレーナーのMORITOさんに寄稿していただきました。
この記事を書いた人
MORITO
5000人規模のスポーツクラブの責任社として勤務しているトレーナー兼インストラクター。
トレーナー歴は大学生時代のアルバイトも含めると10年目。
はじめまして。
健康運動指導士のMORITOと申します!
本日のテーマは「ファンクショナルトレーニング」について。
トレーナー目線からの解説と自宅でできるファンクショナルトレーニングをお伝え致します。
是非お付き合いください!
ファンクショナルとレーニングとは?
「ファンクショナル」とは一言で言うと「機能的」という意味です。
つまりファンクショナルトレーニングとは「機能的なトレーニング」という意味です。
私たちは普段の生活の中で身体が本来持っている可動域やスムーズな動きが出来ていないことが多いです。
座っている時に足を組んでしまったり、腕を組んでしまったり、鞄をいつも同じ手でもってしまったり…
そのような状態では機能的とは言えません。
ファンクショナルトレーニングは身体のコリや張りを和らげ、身体が本来持つ動きを取り戻そうという「考え方」
なので「〇kgを〇回持ち上げてこれを〇セットすればこうなる!」みたいなトレーニングメソッドとは違います。
トレーニングをする際のコツであり、概念であり、アプローチの方法の1つ、という認識となります。
ファンクショナルトレーニングの5つの原則
原則とは変わるこのない普遍的な法則の事です。
つまりファンクショナルトレーニングの5つの原則に則ってトレーニングメニューを構築すれば正しいトレーニング方法になる、という事ですね。
なので一人ひとり運動のメニューや行う内容は違ってきます。
ファンクショナルトレーニングの5つの原則
- 重力を利用したトレーニング
- 分離と協同
- キネティックチェーン
- 3面運動
- 力の吸収と力の発揮
5つの原則を考え方の基準にする事で機能的なトレーニングの正しい方向性を理解することができます。
①重力を利用したトレーニング
ファンクショナルトレーニングは必ず「重力」を利用します。
例えばジムのマシントレーニングで「チェストプレス」というマシンがあります。
椅子に座って床と水平にグリップを押していく動作を繰り返すマシンです。
ファンクショナルトレーニングの考え方の場合、このマシンでは「重力を活用していない」という事になります。
重力は地面に向かって影響しているので、力のベクトルが床と水平なのは本来不自然な状態です。
なのでファンクショナルトレーニングの場合は「腕立て伏せ」や「ベンチプレス」が重力を使ったトレーニングなので正解となります。
※マシントレーニングが間違ったトレーニング方法というわけではなく、あくまでファンクショナルな考え方の場合、という意味です。
マシントレーニングにはマシンの良さとメリットがあります。
②分離と協同
人の関節には「よく動ける関節」と「固定して支える関節」の2種類があります。
よく動ける関節の事を「モビリティ関節」。固定して支える関節の事を「スタビリティ関節」と呼びます。
スタビリティ関節は「腰椎」や「膝」のように可動性の高い関節が動くときにピタッと止まって支えてくれる関節のこと。
ファンクショナルトレーニングの「分離と共同」とは・・
モビリティ関節とスタビリティ関節がそれぞれの役目を果たして、トレーニングできているか?という原則になります。
この時にモビリティ関節の股関節がしっかり動ける状態でないと、そもそも太ももが床と平行まで上がりません。
膝も腰椎もしっかり固定してないと倒れてしまいます。
- 「分離」とは、それぞれ別々の考え方でトレーニング種目を選定できているか
- 「共同」とは、それぞれが役割を果たせる状態であるか
この点を重視して、トレーニングの際には「分離と共同」を意識します。
③キネティックチェーン
キネティックチェーンとは「運動連鎖」という意味です。
それぞれの筋肉がしっかり連動して動作しているかどうかが重要という事ですね。
こちらもマシントレーニングを例に出しますが、例えばレッグエクステンションというマシン。
このマシンは椅子に座って足首にパッドを乗せます。
マシンの重りを活用して膝を曲げ伸ばしして太ももの表をトレーニングしていくマシンです。
キネティックチェーンを意識すると「スクワット」や「ランジ」等の種目が適当となります。
スクワットだとしゃがんで立ち上がるまでに「太ももの表」「太ももの裏」「脛」「体幹」など多くの筋肉が作用します。
つまり筋肉が連動して運動連鎖が起こって動作しているという状態になります。
このように種目を考えるのがキネティックチェーンの運動連鎖です。
※繰り返しますが、マシントレーニングがダメというわけではありません。
④3面運動
人の動作は全て3面で見ることが出来ます。
「正面」「真横」「水平(真上から)」です。
トレーニングの種目を選定する際にこの3面の動きを考えてそれぞれがメニューに反映されているか考えるのです。
例えばいつも通り歩いてみましょう。
歩く動作を真正面から見ると、右足が着地した時と左足が着地した時とで傾きが見れます。
姿勢の歪みも判別出来ます。
真横から見ると腕の振りの大きさ、足の歩幅の大きさ、前傾姿勢なのか後傾なのかが見えます。
このように3面で動きを解剖して、その人が苦手である動き・やりづらいと感じる動きを改善するためにトレーニングメニューを組み立てていく考え方です。
⑤力の吸収と力の発揮
例えば、ボールを投げる動作をイメージしてください。
遠くにボールを投げようとすると一度振りかぶって力を溜めますよね?
この溜めている時間を「力の吸収」と言います。
そのまま振りかぶったら溜め込んだ力を使ってボールを投げます。
この投げた時のパワーを「力の発揮」と言います。
この反動を使う考え方は実に機能的で、実際私たちの生活の動きは反動を利用して動いています。
トレーニングする際はケガの恐れもあるので徐々に強度を加えていく形となります。
ファンクショナルトレーニングの効果
紹介した5つの原則を活用しメニューを作り、実際にファンクショナルトレーニングを行った際にどのような効果が得られるのか見ていきます。
①痛みの緩和
そもそも「機能的でない」状態とは痛みなどがあって、日常生活に支障をきたしている状態です。
ファンクショナルトレーニングを進めていくと無理に関節や筋肉にかかっていた負荷が取り除かれるので、肩こりや腰痛などの痛みの緩和に繋がります。
②楽に動ける
ファンクショナルトレーニングでは関節の可動域が広がります。
普段の動きもですし、トレーニングをしていても楽に身体を動かせるようになります。
③姿勢が整う
関節の可動域が広がり、筋肉の緊張がとれると姿勢が整います。
猫背や肩の高さが左右で違ったり、反り腰など見た目にも美しくない状態が改善されます。
④身体が安定する
日常でもスポーツなどを行っているときでも、身体の安定は重要です。
重心が保たれ、体幹が安定するので動きのすべてが安定します。
自宅でできる!ファンクショナルトレーニングの方法
では実際にファンクショナルトレーニングの流れを確認して実践していきましょう。
自宅で行える種目を選定しておりますので是非お試しください。
【アセスメント】トレーニング姿勢・日常動作の修正
「チェック」の段階です。
「足を組む」「腕を組む」「ソファーに座る」「スマホを長時間触る」など・・
日頃の自分のクセを洗い出してください。
そして鏡の前で自分の体の姿勢をチェックしてください。
- 頭の位置
- 肩の高さ
- 腰の反り具合
- 骨盤の形
- つま先の向き
【ウォームアップ】アクティブストレッチ
動く前にウォーミングアップは必須。
スポーツのプロ選手でもウォームアップは欠かさないのですから、我々もしっかり行う必要があります。
動きながら体をほぐす「アクティブストレッチ」がおすすめです。(動的ストレッチとも言います。)
- 首周りをぐるぐる回す
- 肩回りをぐるぐる回す
- 背骨を丸めたり反らせたりを繰り返す
- 屈伸を繰り返す
- 手首足首を回す
- 可能ならウォーキングなどの有酸素運動を実施
身体と心の運動の準備が整います。
【軸】コアトレーニング
まずは体幹の安定を促します。
「プランク」という種目を行ってみましょう。
■プランク
- 床にうつ伏せになる
- 肩の真下に肘を置く
- つま先と肘だけで身体を支える。身体を起こす
- そのまま30秒~60秒キープする
- 2セット~3セット繰り返します
注意するのは「腰の反り」と「首が真っすぐかどうか」です。
痛みが発生しないよう気を付けて行ってください。
【安定】バランストレーニング
体幹の安定感を出すためにバランス感覚をトレーニングします。
■閉眼片足立ち
- 安全なスペースを確保します
- その場で目をつむり、片足を太ももが床と平行になるまで持ち上げます
- そのまま30秒~60秒キープします。
- 左右共に2セット~3セット行いましょう。
こちらは倒れると危険なので、難しい場合は目を開けたまま行います。
慣れてきたらあえて床にふかふかのクッションなどを置いて、強度を上げていくことも可能です。
【強化】ストレングストレーニング
実践の動きに入ります。
■スクワット(しゃがむ+反動)
- 足を肩幅よりやや広めに開きます
- つま先と膝をやや外側に向けます
- お腹に力を入れて腰椎を安定させます
- そのまま太ももが床と平行になるまで3秒かけてしゃがみます
- 立ち上がる時に少し反動を加えて1秒で立ち上がります
- 15回の2~3セットを目安に繰り返します。
立ち上がる時に膝が伸びきらないように注意してください!
ちなみに股関節はしっかり伸びきっても構いません。その方がお尻の筋肉に刺激が入ります。
膝の向きや腰の反りに注意して行います。
■プッシュアップウィンドミル(腕立て伏せ+捻り)
- うつ伏せになり腕立て伏せのスタートポジションをとります
- 腰が反らないようにお腹に力をいれます
- 片手を床から離して倒れないように気を付けながら指先を天井へ向けます。この時に身体を捻りながら行いましょう。
- 左右交互に繰り返します
- 左右それぞれ10回ずつ2セット~3セット繰り返します。
身体を固定しながら上手に捻る動きを習得します。
手首が反り過ぎたり、腰が反りすぎるとケガをする恐れもあるので、始めは回数を減らして様子を見ながら行いましょう。
【クールダウン】ストレッチ
トレーニングが終わったらクールダウンを行います。
■ストレッチ
- 首のストレッチ ⇒ 首を横に倒して肩~首を伸ばします。
- 胸のストレッチ ⇒ 両手を真横に広げて胸を張ります。
- 背中のストレッチ ⇒ 四つん這いになり背中を丸めます。
- もも裏のストレッチ ⇒ 前屈をします。
- もも前のストレッチ ⇒ 膝を曲げて太もも表を伸ばします。
ウォーミングアップと違って動かしながらではなく、静止した状態で身体を伸ばしてストレッチしていきます。
ファンクショナルトレーニングまとめ
日頃からクセの少ない正しい動きができていればそもそも機能的に動けるはず・・
ですがそのような人は多くありません。
身体の痛みや不調は、誰かに身体をマッサージしてもらっても実は根本の解決には至っていません。
自分自信でクセをなくし、正しい動きを習得することが機能的な状態に近づく唯一の方法です。
今回はファンクショナルトレーニングについて解説していきました。
自宅でトレーニングをする法方もお伝えしましたが・・
不安な方や既に激しい痛みを抱えている方は、一度トレーナーに相談することをおすすめします。
お役に立てれば幸いです!
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